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気さくなイタリア人・・・


  パーキングチケット発券機

                                                                                            

今回はいつものようなお騒がせの話ではなく気楽な内容を書いてみようと思います。

 「イタリア人はなぜあんなにフランクなのでしょう?」 と思う事がよくあります。旅行の経験のある皆さんも同じように思ったことがありませんか?こういう事を安易に書くと現地の日本人の方から「日本人旅行客は何もわかっていない」と怒られるでしょうが、あくまで旅行者の目で見た感覚ですから大目に見てもらいましょう。

たとえば空港の待合室や街中などで赤の他人に一声かけてタバコをもらっている光景。

チューリッヒ経由でミラノに入った時、ロビーで連絡便を待ち合わせしているサラリーマン風の男性にバックパッカーの男性が一声掛けてタバコをもらっていたのを目にした時の事です。はじめは親戚の子供とでも待ち合わせているのかと思いました、ところが見ると全くの他人なのです。このような風景をイタリアの至る所で目撃するようになった時これが日常的なコミュニケーションであることがわかりました。興味深いのはタバコを吸うのと同じくらい会話を楽しんでいることで、日本でたまに見かけるようにタバコだけをもらうような人はまずいません。(日常的にもらいタバコの人っていますよね)見かけた多くのイタリアの皆さんは一服終わるまでタバコをもらった初対面の相手と会話をしているのです。きっと昨日のニュースや天気といったなんでもない一服で終わりそうな話材を選ぶのがとても上手いのでしょう。私まで吸えないタバコでももらってみるか?なんて思ってしまいます、良い意味で本当に気さくです。

電車に乗っても同じような現象を目にします。大晦日にミラノからベネチアに向かった時、車両はコンパートメントではなく普通の4人で向かい合う座席でした。座席は1エリア毎に違ったコミューン(大げさですが)ができているようでとても興味深かった記憶があります。和んだ話をしているところもあればなにやら激論をしているところもあります。そして目的地で誰かが降りるときは「Buon Viaggo!」の一声を(本当に)掛けて別れています。「良いご旅行を」とか「道中お気をつけて」の意味。おそらくは二度と会わない者同士ですが一緒の時間を会話で楽しく過ごすのは共通した気質であることは間違いなさそうです。

上記のような光景は外から見ての話ですがこれが事自分に降りかかるとこれほど緊張する瞬間はありません・・・。運転する機会の多い私がよく話し掛けられるのはパーキングメーターにお金を入れている時です。

美術館や小さな街中を観光するような時、レンタカーをパーキングエリアに停めるのですがコモ湖に行った時の事、メーターに料金を入れていると視界の端の方から人物が近づいてくるのがわかりました。はじめは5mほど先で自分的にはまだ「安全圏内」だったのですが2mほどまで近づいて来た時それがハンチングを被り色あせた青色のジャンパーにヨレヨレのチノパンをはいた70歳前後の小柄なおじいさんであることがわかりました。心の中では「来ないでくれ、来ないでくれ!!俺はイタリア語がわからない!!」お経のように唱えていました。しかし期待は見事に裏切られます。1mほど手前からもうなにかベラベラ話し出して私の前に立ち止まってしまったのです。

「き、来たっ!!おじいちゃん気の毒だけど何を言ってるのかサッパリわからないよ・・」

感覚的にはダミ声のスローテンポのカンッオーネがフェードインで突然流れて来たという表現がピッタリなのです。ところがやはり彼らはジェスチャーの天才です。右手に数枚の1000リラ札を二つ折りにして指に挟み、左手で一旦パーキングメーターのコイン投入口にお金を入れるフリをしてすぐズボンに手を入れ、手を抜くと手のひらを上にして「無い」と表現するのです。フランスに近いからかおじいさんだからなのかはわかりませんがミラノで聞く言葉とは違う言語のように聞こえました。でも一言だけ「・・・cambio」が聞き取れた時初めて「お金を崩してほしい」と言っていることがわかったのです。日本でも小銭(には)苦労しない私です、手持ちの500リラコインに崩してあげると丁寧に御礼を返してくれて相変わらずダミ声で一人話しながら車に戻っていきました。4台ほど先に停まっていたおじいさんの車を見るとジャンパーと同じ色褪せたブルーのFIAT500であることがわかりました。たった今購入したチケットをフロントのウインドシールドに貼り付けて車に鍵をかけるとなにか大きな声で「駐車券を確かに貼ったよ・・・」というようなことをニッコリ笑いながら私に叫んで去っていきました。

                 
 こちらがおじいさんが乗っていたFIAT500です。味がありますね・・・。ちゃんと購入した駐車券をウインドウシールドの端にぶら下げて貼っています。ナンバーも年代物で右端にコモの略字である「CO」が打刻されています。運転席側のドアミラーもどう見ても後ろを写し出してはいませんし、現地ではオプションの助手席側のミラーは当然付いていません。でもおじさんが停めているエリアは居住者用の駐車エリアであるブルーで塗られたところ・・・。居住者なのか、停めちゃったのかはわかりません、謎です   2000年2月

その後、同じ事を何度か経験しましたが日本人の感覚では考えられないことです。もちろん町中の至る所に自動販売機が設置されている日本では必要もないのでしょうが手持ちの小銭がないから海外からの旅行者に両替してもらうという選択肢はありえないですよね。でも彼らの考えとして海外からの旅行者はほとんどの金種を持っているだろうと読むのかもしれません、なにせ見ればすぐにわかると言われる日本人観光客です。でも小銭を持たない言い訳を一生懸命話す彼らがなぜか憎めません。セストカレンデの湖畔の駐車場で声を掛けてきた若者は「向こうの券売機がお金の受け入れをを拒否した」というようなことを延々話していました。冷静に考えれば小銭の持ち合わせがないのと全く関係ないのですが・・・(笑)昨年訪れたモナコでは有料トイレで並ぶおじさんに必死の形相で両替を頼まれたことがありましたがさすがにこの時は言葉は要りませんでした。このような時、伝える思いは万国共通のようです・・・

ミラノのモンテナポレオーネ通りで某有名アパレルメーカーとコラボレーションで展示してあったランチア(当時は日本未発売)の最高級車「テージス」を食い入るように見ていた時は

「Poi・・・・・・・・Guidare・・・」

と突然シャーロックホームズのようないでたちのおじさんに声を掛けられた事もありました。きっと「将来お前さんもこんな車を運転するのかい?」というようなことを話し掛けてきたのだと思います。思わずイタリア語で答えられない私は

「No!! it  is  too expensive」とチャランポランな英語で話すと「Are you Giapponese?」とこれまた不思議な英語+イタリア語で返ってきました。きっと日本でFIAT126に乗っているなんて話したら腰を抜かしたかもしれません。

パックで旅行に行かれる方はなかなか体験できないかもしれませんが、集合時間までの間ホテル近くの本屋さんや売店、Barなどに行ってみればすぐに同じような体験をすることになると思います。是非、イタリアへ行ってみてください!!

 気さくで人なつこい連中の集まるイタリアはこれだから止められません

                                    
                              


                              (C) Sestocalende 2004.10.3

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